紛争の続く地域では、地雷などにより脚を失ってしまう人も少なくありません。
また、事故や障害のため、脚を失ってしまう人もいます。
脚を失ってしまうことは、とても不幸な出来事です。
しかし、義足があればまた歩くことは可能となります。
しかし、経済的な理由などから義足を手に入れることができず、不自由な暮らしをしている人も大勢いるのが現状です。
一人でも多くの方が歩けるようになるために、義足や装具の製作を支援している団体もたくさんあります。
その中でも今回は、義足製作をより安価で短期間に実現する取り組みについて紹介したいと思います。
3Dプリント技術の持つ課題
低コストで活用できる3Dプリント技術が登場したことで、使う人に合わせた義足を短期間で製作できるようになりました。
しかし、3Dプリント技術はまだ課題を抱えています。
その課題とは、3D設計が複雑で習得が難しいことです。
これまでの義肢の製作や調整は、石膏型取り、やすりがけ、整形まですべて手作業で行われてきました。
いわば、最新のテクノロジーとは無縁の世界です。
そのため、3Dプリントで制作するメリットは理解できても、なかなか実行には踏み切ることができません。
なぜなら、デジタルモデリングという全く異なる技術を覚えなくてはならないからです。
この技術を身につけることに、抵抗のある職人さんも少なくありません。これまでの経験から、自分の手で義足の形状を確かめ、微調整することに慣れているのです。
そのため、3Dプリントで作成する方が、時間がかかってしまうこともあるくらいです。これでは意味がありません。
3D設計は複雑ですが、VRを使えば作業が直感的になり、職人さんの経験と勘を活かすことができるかもしれません。
その実現を目指しているのがOrthoVRです。
OrthoVRとは?
OrthoVRは、Nia TechnologiesがVRスタートアップのGradient Space、トロント大学、CBM Canadaと共同で開発を進めているツールです。
VR空間の中で義足を設計することで、職人さんの技術を活かして3Dプリンタ用のモデリングができるように開発されています。
従来の製作工程に近い感覚で作業ができるので、試作から最終調整までの時間を大幅に短縮することができます。
OrthoVRの臨床試験はタンザニアで始まり、ほかの発展途上国の医療機関でも実施される予定となっています。
このツールの開発が成功すれば、より多くの義足を作れるようになり、脚を失ってしまった人をより多く救うことができるでしょう。
VRによって世界中の暮らしが変わる
VRや3Dプリントなどの先端技術により、暮らしはどんどん便利になっていきます。
そして、障害のある方の暮らしを向上する役にもたっています。
今後もVRが発展し、世界中の人の暮らしのために役に立つことを願っています。