近年は、ブームも手伝って自転車を利用する人が増えてきています。それに伴い、自転車が絡む事故も増加しており大きな問題となっています。
この問題を解決するためにスタートした取り組みが、「Share The Road」です。そして、この取り組みの一環として、VRコンテンツを使った交通安全キャンペーンが始まっています。
アメリカの自動車メーカーのフォードが公開している、「WheelSwap」と名づけられたVRコンテンツでは、自転車や自動車の迷惑な運転が引き起こす、危険な場面を体験することができます。
・自動車と自転車、双方の視点を体験
自転車事故の中で特に多いものが、自動車との接触です。そこで、「WheelSwap」では、自動車のドライバーとサイクリスト、双方の視点で見た危険な運転を体験できるようになっています。
お互いの視点を体験することで、どのような行為が危険をもたらすのか、理解を促進することが狙いです。
ドライバーの視点では、自由に走り回る自転車の脅威を体験できます。
信号無視や急な飛び出し、一方通行の逆走など、ルールを無視した自転車の行動が、ドライバーから見るとどう写っているのか知ることができるでしょう。
サイクリストの視点では、確認することなく急に動く車の危険を体験できます。
急にドアを開けたり、合図無しに発進したり、間隔をあけずに追い越したりといった運転が、サイクリストにとってどれだけ危険か知ることができるのです。
・9割以上の意識を向上
欧州で行われた、コンテンツを1200人以上に体験してもらう実験では、7割以上の人が立場の違うドライバーやサイクリストに対し共感を示しています。
また、ビデオを見た直後で91%、ビデオを見た2週間後で61%の人が「自分の運転を改める」と回答しています。この結果からも、VRにより危機意識が向上していることが伺えます。
他者の立場を理解するのはなかなか難しいものです。これを理解するには、他者の立場に実際に立つことが最も効果的といえるでしょう。
VRを使い、リアルな現場を再現することで、他者の立場を疑似体験できます。この体験から相手に共感を生むことができれば、お互いが譲り合う運転ができるようになるでしょう。そうすれば、事故もおのずと減っていくのです。
自転車の絡む事故は、日本だけでなく海外でも問題となっています。だからこそ、このようなキャンペーンがスタートしているのです。
日本でも、自転車を利用する人は年々増加しています。それに伴い、事故も増加しています。このようなキャンペーンを有効に活用し、事故防止に努めてもらいたいと思います。