清戸迫横穴は、福島県双葉郡双葉町大字新山にある横穴式装飾古墳です。奥壁に人や動物、うずまきを描いた壁画が残されており、1968年には国の史跡に指定されました。
築造年代は7世紀前半と考えられており、現在判明している彩色壁画の北限に当たります。
そのため、歴史的文化財としても大変貴重な史跡ということができるでしょう。
現在は覆屋の中に保存されており、維持管理上の問題により年に4回のみ一般公開されていました。
しかし、福島第1原発事故以降は、警戒区域内にあるため立ち入りができない状態となっています。
そこで、福島県双葉町の町教委と東北大は、清戸迫横穴の壁画をVRで見ることのできる体験会を実施しています。
この体験会により、「古里の誇れる遺産をぜひ体験して欲しい」とのことです。
体験できるVRはどんなもの?
このVR体験は、双葉町が東北大と連携して、横穴内のデータを三次元スキャナーで計測収集したものが活用されています。
文化財や震災遺産の資料を収集する、町のアーカイブ事業の一環として実施されています。
このVRコンテンツは、福島県いわき市の町いわき事務所で一般公開されています。
事務所内には、VRの専用マーカーを張り巡らせたスペースが設置されており、VRゴーグルを着けてスペース内を歩き、横穴の探検を疑似体験することができます。
没入感のあるVRにより、横穴内にいるような感覚で壁画を観察することができるでしょう。
また同時に、津波被害を受けたマリーンハウスふたばの立体画像も公開しています。
マリーンハウスふたばとは、双葉海水浴場にある町営の海の家で、震災時に津波の被害にあいました。
こちらもVRゴーグルを着用しリモコンで操作することで、津波で損壊した建物の内部を探索することができます。
海に近いハウスの損壊状況を体験することで、津波の持つ力の恐ろしさをリアルに実感することができるでしょう。
VRが、被災地の役に立つ未来が来る
福島第1原発事故により、多くの被害がもたらされました。
その被害は、このような史跡にも及んでいます。特に、清戸迫横穴のような帰還困難区域にある史跡は、今後の管理も大きな課題となっています。
このVRコンテンツにより、貴重な歴史的文化財を未来へ継承する記録とすることができるでしょう。
また、津波の被害を後世に残し、未然に被害を防ぐために役立てることもできます。
VRのような最新の技術が、少しでも被災地の役に立てていると思うと嬉しい限りですね。
今後、技術がさらに発展し、より被災地の復興などの役に立つことを心から願っています。