VR元年と呼ばれた2016年からどんどん技術は進歩し、特にBtoBにおいては様々な産業でVRが使用されるようになっています。
しかし、クリエイター産業においては、VRへの対応が遅れているのが現状です。クリエイター向けの使いやすいVRツールが存在しないので、どうしても普及がすすんでいないのです。
この問題を解決するため、VR/MR技術を活用した描画ツールを開発しているのが、ペンタブレットで有名な株式会社ワコムです。
このツールが完成すれば、クリエイターはVR空間に入り込み、3Dモデルの実際の大きさや細かなデザインを確認しながら作業を進められるようになります。
・試作機が完成!!その性能は?
試作機はすでに完成しており、その性能についても公開されています。
試作機には、イギリスのスタートアップgravity sketchが開発したVR対応の3Dデザインツール「Gravity Sketch」が使用されています。
このツールをベースに、VRヘッドセット「HTC Vive」、ワコムのデジタルペンを取り付けたコントローラー、Valveのトラッキングシステム「Lighthouse」を組み合わせることで、クリエイターが自由にVR空間でデザインすることを可能にしました。
このシステムは、VR空間でデザインを行うだけでなく、ペンタブレットなどでデザインした2Dのスケッチを取り込むことも可能です。
また、完成したデータはペンタブレットやPCなどでも編集ができます。さらに、様々な形式で出力することもでき、3Dプリンターで印刷することも可能となる予定となっています。
・製品化への課題
試作機は完成していますが、製品化にはまだ課題が残っているようです。
その最も大きなものが、トラッキングの制度です。トラッキングの精度を担保できなければ、クリエイターが快適に作業することができません。
また、クリエイターにはそれぞれのワークフローがあります。それに添った形でソフトを作り込んでいくことが今後の課題となっていくそうです。
製品化にあたっては、CADや3Dソフトの連携、ワコム商品との連携なども強化していくとのことです。さらに、VRヘッドセットに関しても市販されているものには対応していく予定となっています。
このツールが完成すれば、クリエイターの作業量削減やコストの削減につながることが予想されます。
たとえば、車のデザインはこれまで紙とペンでスケッチしたものを3Dデータに落とし込み、それをクレイモデルにして確認を行っていました。当然開発期間は長く、クレイモデルを造る費用も莫大です。
これをVR空間で行うことで、まず3Dデータに落とし込む手間が省けます。また、VR空間で完成品を細かく確認できるので、クレイモデルを何回も作り直すことがなくなるのです。
クリエイターの作業を効率的に行え、コストの削減にもつながるならこれを使わない手はないですよね。クリエイターさんが活用できるよう、いいものが一日も早く完成して欲しいと思います。