VR元年といわれた2016年から2年が過ぎ、VRを有効に活用する企業や地方自治体も増えてきました。しかし、一般家庭に目を向けると、VRの普及が進んでいるとはいえない状況です。
この原因の一つとして、VRデバイスが高額であることが挙げられます。映像が美しく高い没入感が得られる高性能なVRヘッドセットは、単体でも5万円を超えるものがほとんどです。
さらに、VRヘッドセットを快適に動作させるためにはパワーのあるパソコンが必要で、全部揃えるとなると10万円では厳しいというのが現状なのです。
しかし、近い将来、もっと手軽に高精細なVRを家庭で楽しむことができるようになるでしょう。なぜなら、価格を抑えるために技術開発が、各社で進んでいるからです。
・AR/VR専用のチップが完成
アメリカのクアルコムが開発したチップも、価格の低減に役立ちます。
これまでのVRヘッドセットには、スマートフォン用のチップが流用されてきました。しかし、スマホのチップを流用すると価格が高額になりがちなのです。そこで、VRやARに特化した専用設計のチップにすることで、完成品の価格も抑えることができるというわけです。
「スナップドラゴンXR1」と呼ばれるチップには、音声や画像処理、人工知能などの機能がひとまとめになっています。このチップを活用すれば、2万円前後のVRヘッドセットが開発しやすくなると見られています。
「スナップドラゴンXR1」のメリットは、通信の遅延を軽減し、あらゆる動作をスムーズに見せることができる点にあります。これは、VRにおいて最も重要な要素です。
ただし、グラフィックの鮮明さやシャープさという点では、既存のチップの方が高品質のようです。そのため、ハイエンドな端末でなく、家庭向けの高品質端末向けのチップとなります。
・スマートフォンの「次」になる可能性
クアルコムは、HTC、Vuzix、Meta、Picoの4社と提携し「スナップドラゴンXR1」を搭載したデバイス開発をすでにスタートしています。
また、「スナップドラゴンXR1」を活用することで、優れたARグラスやスマートグラスが実現すると期待されており、こちらからも目が離せません。
クアルコムは、スマートフォンの次のデバイスを見据えています。そして、その有力候補が、VRやARのデバイスなのです。
そのため、クアルコムは長期的に「スナップドラゴンXR1」に注力する方針としています。そして、2023年までに、1億8600万台のVR/AR端末を流通させる見通しとしています。
2万円台で高品質なVRデバイスが買えるなら、家庭にも一気に普及しそうですね。
「スナップドラゴンXR1」は、位置トラッキングにも対応しているので、これまでハイエンドVRデバイスが必要であったコンテンツも気軽に楽しむことができるでしょう。完成が待ち遠しいです。
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