タイのアユタヤには、18世紀頃まで日本人町がありました。アユタヤはチャオプラヤー川沿いにあることから交易が盛んで、ポルトガル人やオランダ人など多くの外国人も居住区を作っていたそうです。
当時の日本人街には、1000~1500人ほどが住んでいたと考えられています。特に、17世紀のアユタヤで活躍した山田長政は有名です。
現在、日本人街の跡地には庭園や資料館などが整備されています。そして、修好130周年を機に、リニューアルが進められています。
このリニューアルの一環として、泰日協会は「日本人町VR復元プロジェクト」を進めています。これは、VR技術を活用することで、当時の日本人街の様子を復元するというものです。
・17世紀のアユタヤにタイムスリップ
制作されたVRコンテンツは、17世紀のアユタヤ王朝全盛の時代を再現したものです。日本と貿易を行うために、アユタヤ王朝と日本人で作った日本人町の当時の街並みや港の貿易船などを、高精細CGにより推定復元されています。
当時の日本人町の様子や、朱印船貿易を通じた日本とタイの歴史的つながりをVRでリアルに体験することができるでしょう。また、タイとの修交に貢献した山田長政の活躍についても知ることができます。
復元は、アユタヤ史研究の大家である歴史学者チャーンウィット・カセートシリ博士の監修の元行われています。日本とタイに残る貴重な資料をリサーチし、できるだけ当時の様子に近づくよう再現されているのです。
・旅行がより楽しく
制作されたコンテンツは、凸版印刷が提供する体験型VR観光アプリ「ストリートミュージアム」で配信されています。現地でアプリを起動すると、その場所にあった当時の日本人村の風景がVRコンテンツとして写し出されます。
また、日本人町にある施設では、朱印船貿易を通じた日本とタイの歴史的つながりを紹介したVR映像も上映されます。日本とタイの歴史について、知識を深めるにはもってこいのコンテンツといえるでしょう。
音声の解説も用意されているので、その場所に対する理解を深めることもできます。言語は日本語・英語・タイ語の3か国語に対応しており、多くの観光客が楽しむことができる仕様となっています。
さらに、凸版印刷が開発した紙製ゴーグル「VRscope」がお土産品として提供されます。これがあれば、現地での体験を自宅で再度楽しむことができるでしょう。
「ストリートミュージアム」では、これまで多くの日本の史跡をVRコンテンツ化してきましたが、海外の史跡は初の試みとなります。「ストリートミュージアム」を利用すれば、旅行がより豊かになるので多くの観光地に広まってもらいたいものです。
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